1、真昼の決闘
2、日本人の勲章
3、カサブランカ
4、ローマの休日
5、パットン大戦車軍団
6、麗しのサブリナ
7、わが命つきるとも
8、史上最大の作戦
9、戦場にかける橋
10、フィールド・オブ・ドリームス
正確には、彼らに鑑賞された回数の多い映画10本なのだが、意外な選択として、2、5、7位の作品あたりが目を引く。「日本人の勲章」は「大脱走」のジョン・スタージェス監督作。スペンサー・トレイシー、ロバート・ライアン主演、日本人は出てこない異色の社会派サスペンスだ。影の日本人が善玉に置かれて、米国人の罪を暴く。昔、テレビ放映で見た。そんな「日本人の勲章」や「真昼の決闘」と、戦争狂の軍人を描いた「パットン大戦車軍団」の取り合わせに、この職業の特徴が現れていようか。
ヒントとして彼らのお気に入りの俳優を挙げておくと、男優はジョン・ウェイン、クリント・イーストウッド、ハンフリー・ボガート、ゲイリー・クーパー、ジェームズ・スチュアートなどで、女優は断トツでオードリー・ヘプバーンだったそうだ(確かモンロー好きが一人いたはずだが)。見当がついただろうか。
正解は、アメリカ合衆国大統領。
古いビデオテープの余白に、NHKで放送された面白いドキュメンタリー番組が録画してあった。米フローズン・テレビジョン制作「大統領が愛した映画」(03年)。原題は"All the Presidents' Movies"で、その後編。ほとんどギブ・アンド・テイクとも言うべき、歴代大統領とハリウッドの親密な関係が描かれていた。ホワイトハウスには大統領専用の映写室がある。大統領はそこに作り手たちを招いてどんな映画も見られる。上のベスト10は、長年映写係を務めた男の日記を基に集計された。
トルーマンの再選にはフランク・キャプラ監督「愛の立候補宣言」なる映画が一役買った。現職大統領を描いた初の映画「魚雷艇109」の主演と監督の選考にはケネディ自ら関与した。ニクソンは検閲官さながら口出ししてハリウッドから嫌われた。自身の主演作からミサイル防衛構想のヒントを得たレーガンは政治と映画の区別がつかなかった・・・等々、興味深い話が盛り沢山だったので前編も見たいのだが、古いビデオの山のどこかに埋もれているのだろうか(まだアナログ時代に生きています)。
「フィールド・オブ・ドリームス」を最愛の一本だと証言したのはクリントンだ。「『アメリカン・ビューティー』のような際どい映画も好きだが、『真昼の決闘』以降では一番いい」。だが、子ブッシュも「フィールド」を好んだと云う。番組はナレーションを担当したバートレット大統領にこう語らせていた。「ただ野球が好きだから、彼はこの映画も気に入ったのだろう」。随分と辛辣な皮肉だが、片や民主党、片や共和党、性格的にも合いそうもない両元大統領が愛した映画だというのだから、米国的なるものが体現された映画なのかもしれない。
【 Field of Dreams 】
監督・脚本:フィル・アルデン・ロビンソン (1989年・米)
原作:W・P・キンセラ
撮影:ジョン・リンドレイ 音楽:ジェームズ・ホーナー
出演:ケヴィン・コスナー、エイミー・マディガン、レイ・リオッタ、ジェームズ・アール・ジョーンズ、ドワイヤー・ブラウン
そして今、中年になったレイが、アイオワの広大なトウモロコシ畑で不思議な天の声を聞く。「それを作れば、彼はやって来る」。視覚優位の時代に声を持ち出したというのがこのお伽噺の仕掛けだ。レイは畑を潰し、野球場を作る。破産覚悟の愚行を妻や娘も後押しする。果たして、シューレス・ジョーが現れた。オールド・スタイルのユニフォームに身を包んだレイ・リオッタの佇まいに見惚れる。
野球の映画だが、伝記ものではない。弱小球団の奮闘記でもない。原作の手柄なのだろうが、実在した名選手を幻として登場させ復権させるという着想が心憎い。シューレス・ジョーは云う。「金はどうでもいい。ただプレーがしたいんだ」
少年たちが原っぱや道端で無心になってボールを追いかける。メジャーリーグには、そうした少年野球の神髄が残っていると感じさせる雰囲気がある。例えば、大リーグの球場の規格など無視したかのようないびつな形状。観客席とグラウンドを隔てる金網の不在。敵味方にかかわらず個人のファインプレーに拍手を惜しまない観客。篇中にも「グリーンモンスター」でおなじみのボストン・レッドソックスのフェンウェイパークが登場する。ベースボールには少年野球の気高い遊び心が宿っている。昨今の薬物汚染は残念だ。
「彼の苦痛を癒せ」。夢の文法で紡がれた映画だから、物語は出来すぎている。郷愁もまた甘美に流れやすい。だが、そんな難点を補って余りあるのが、ジェームズ・アール・ジョーンズ扮する政治運動家崩れの作家とバート・ランカスターの老医師の存在だ。若き日の二人は共に大リーグでの夢を立たれている。特にアール・ジョーンズが好演で、ユーモラスな雰囲気で話が単調になるのを救った。
「父さんは、犯罪者を英雄視している!」。長い道のりを経て、確執から和解へと至る父と子の映画でもある。この世で最も美しい情景とは、娘の髪をくしずける母親の姿と、父と息子のキャッチボールかもしれない。それだけに、父親の登場のさせ方など、ラストシーンのフィル・アルデン・ロビンソン監督の演出や画面構成の手際の悪さがやや目につく。
臆することなく純朴な夢と良心を謳い上げる。嫌味にならなかったのはそのせいか。米映画ならではのヒューマニズムの香りが匂い立つ。ところが、父ブッシュはこの映画の意味が分からず、苦言を呈した。その話を伝え聞いたロビンソン監督の母堂は、大統領にこんな手紙を出したと云う。「あなたが理解できなかったことが傑作の証なのでしょう」。痛快。「大統領が愛した映画」にあったもう一つの逸話だ。
と、ここで話を切り上げたかったのだが、ネットで調べて驚いた。シューレス・ジョー・ジャクソンって右投げ左打ちではないか!何でまた。白璧の微瑕とは云えない。伝統を重んじるメジャーリーグに対する冒涜なのではないか・・・。
■ 予告編 :フィールド・オブ・ドリームス
■ それを作れば、彼は来る ■
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オバマ大統領の好きな映画は、「ゴッドファーザー」「アラビアのロレンス」「カッコーの巣の上で」といったところらしい。子ブッシュは他に「プライベート・ライアン」で、「パットン大戦車軍団」を挙げたのはニクソンだ。軟弱な反戦ものよりもは断然面白い「パットン」を評価したニクソンを称えようか。

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