米国で初めて誕生したティーン・エイジャーだと言う。
【 Rebel without a Cause 】
監督・原作:ニコラス・レイ (1955年・米)
脚色:スチュワート・スターン、アーヴィング・シュルマン
撮影:アーネスト・ホーラー 音楽:レナード・ローゼンマン
出演:ジェームズ・ディーン、ナタリー・ウッド、サル・ミネオ、ジム・バッカス、アン・ドーラン
17才のジムは両親といさかいが絶えなかった。母の言いなりになっている父親の腰抜けぶりと、問題が起こると引越しで解決しようとする両親の安直な姿勢に我慢がならなかった。ジムはある日、泥酔して警察に補導される。そこで新しい学校の同級生でもあるジュディ(ウッド)とプラトン(ミネオ)と知り合う。二人も家庭に問題があり、共に親の愛情に飢えていた。
開巻、路上で酔い潰れて、転がっていた猿の人形を弄ぶうちに、手を両脚の間に挟んで寝てしまう場面が象徴的だ。まるで胎児のようなその姿。
不屈の意志を持った強い男性像を神話的に描いてきた米映画は、この若者の登場によって「青春」を発見する。それは美しくも痛ましい未成熟の相だった。傷つきやすい孤独な魂の反抗と甘え。彼はそれを人を魅了せずにはおかない繊細な演技で「表現」した。上目使いで愛情を乞うような視線、気だるそうにものに体をすり寄せる身振りで、これほどまでに青春の情感を漂わせた俳優を他に知らない。
【 East of Eden 】
監督:エリア・カザン (1955年・米)
脚本:ポール・オスボーン
撮影:テッド・マッコード 音楽:レナード・ローゼンマン
出演:ジュリー・ハリス、ジェームズ・ディーン、レイモンド・マッセイ、ジョー・ヴァン・フリート、バール・アイヴス、リチャード・ダヴァロス
原作は旧約聖書のカインとアベルの物語を翻案したジョン・スタインベックだ。
カリフォルニアで農場を営むトラスク(マッセイ)には、正反対の性格を持つ二人の息子がいた。兄のアロン(ダヴァロス )は父の血を継いで真面目な青年だったが、弟キャルは粗野で反抗的な若者だった。父は二人をことごとに比較し、その思いを無視してキャルを冷たく突き放す。
エリア・カザン監督の物々しい演出の故あまり好きではなかったが、印象に残る場面は多い。氷室から次々に氷を落とすキャル、兄の恋人(ハリス)と唇を交わしてしまう観覧車、父に完全に拒絶された彼が兄に残酷な仕打ちをする件り、分けても無賃で乗った列車の天井で体を丸めている姿。
しかし、この作品が日本で公開されたとき、彼はすでにこの世にはいなかった。
これも青春の特権である車とスピードへの偏愛がもたらした、どうしても自死だったのではないかと思わせる事故。すでに前歯四本も差し歯だったと聞く。
死者の姿を生前のままに留めてしまう映画はある意味で残酷だが、そのためにこの若者の存在は、一切のぶれから免れた永遠の伝説となる。
【 Giant 】
監督:ジョージ・スティーヴンス (1956年・米)
原作:エドナ・ファーバー
脚本:フレッド・ガイオル、アイヴァン・モファット
撮影:ウィリアム・C・メラー 音楽:ディミトリ・ティオムキン
出演:エリザベス・テイラー、ロック・ハドソン、ジェームズ・ディーン、マーセデス・マッケンブリッジ、キャロル・ベイカー、ジェーン・ウィザース、チル・ウィルス、デニス・ホッパー、サル・ミネオ
これは1920年ごろから30年間に渡る、テキサスの大牧場主一家の変遷を綴った叙事詩だ。
牧場主ビック・ベネディクト(ハドソン)と結婚したレズリー(テイラー)が初めてテキサスに足を踏み入れる。何と広い大地なのか。彼女は自分が育った東部とはあまりに違う風土に目を瞠る。気性の荒いビックの姉ラズ(マッケンブリッジ)との間に冷たい空気が流れるが、レズリーはこの土地に根を下ろそうと心に誓う。そんな彼女を遠くから眩しげに見つめる一人の男がいた。ラズの子飼いの牧童ジェット・リンク。ジェットはレズリーへの愛を内に秘めて、やがて栄光と破滅の道を辿ることになる。
後半の老け役ぶりにはさすがに眉をひそめたが、ジェット・リンクの悲劇には胸を打たれる。
石油を掘り当て成金になった後もなお、レズリーの愛は得られない。心の空白は埋まらない。事業の一環であるホテルの落成式で、したたかに酔って醜態を演じてしまう場面はやはり壮絶な迫力だ。どうしても、実生活におけるピア・アンジェリとの悲恋が重なってしまう。
感情の起伏の激しさに、ピア・アンジェリは耐えられなかったとも伝えられる。彼の生い立ちは不遇で、幼時に母親を亡くしている。だから人一倍、愛情を求める傾向があったのかも知れぬ。ピアは歌手のヴィク・ダモンと結婚する。そして彼は周囲の心配をよそに、ますます車やレースにのめり込む。
淀川長治氏によると、「ジャイアンツ」の撮影が終わる頃、妻の常ならぬ様子を案じたヴィク・ダモンがなぜか彼を訪ねた。それでも、ダモンはこう言い放つ。「もちろん、妻は幸せだよ。僕が生涯幸せにしてみせる」。そして彼は酔ったまま出て行く。車を飛ばした。それが1955年9月30日の出来事だったと言う(ピア・アンジェリも71年に自殺した)。
1931年生まれ。もちろん、同時代には見ていない。しかし、クリント・イーストウッドが30年生まれだと聞けば、改めて無常観を禁じえない。
「こいつは、いつも寒がっていたんだ」
自分がやった赤いジャンパーを着て警官に撃たれて死んだプラトンのために、ジムはそのファスナーを締めてやる。弾丸は抜かれてあった。理由なき反抗などない、というあまりにも痛切な逆説。
本名、ジェームズ・バイロン・ディーン。
ブロンドの髪とブルーの瞳。白いTシャツ、そしてジーンズ。
「ジェームズ・ディーン」は死して、今もなお生きている。
■ 予告編 ■
理由なき反抗
エデンの東
ジャイアンツ (予告編のこのクラシックな雰囲気もたまりません!)
■ 青春があった人も、なかった人も ■
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■ 関連サイト ■
素晴らしき哉、クラシック映画!
James Dean.com
The James Dean Memorial Gallery
American Legends
Reel Classics





ピア・アンジェリ、自殺していたなんて・・・。
知りませんでした。本当に悲しい結末ですね。
没後50年が過ぎても、10万人以上のファンがあつまる理由が少し分かった気がします。
ディーンが死ぬまで求め続けた“愛”は、今こうしてたくさんの人々に愛され続けることで成就したのかと思うと、また胸がせつなくなりました。
ディーンの映画を見れば、とても生きいきとした存在がある。でも、実際にはいない。当たり前の話とはいえ不思議な感じはします。
10万人以上。やっぱり、そういう映画のなせるところなのでしょうね。