まさしく極上のワイン。フランス映画の香りが馥郁と漂う。
「シェルブールの雨傘」。それは、愛と別離のお伽噺。
【 Les parapluies de Cherbourg 】
監督・脚本:ジャック・ドゥミ
撮影:ジャン・ラビエ 音楽:ミシェル・ルグラン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ニーノ・カステルヌオーボ、マルク・ミシェル、アンヌ・ヴェルノン、エレン・ファルナー
イギリス海峡に面した港町シェルブール。雨傘店の娘ジュヌビエーブ(ドヌーヴ)は車の修理工ギイ(カステルヌオーボ)と恋仲だ。しかしギイに赤紙が届く。ジュヌビエーブの体にはすでに愛の果実が宿っているのに、戦争が二人を引き裂く。
「夢色」と評された鮮やかな色彩設計に目を奪われる。
フランス語の抑揚のなせる技なのか、本職が代わりに歌っているにせよ甘美な音楽に耳を奪われる。
映画が音と色彩を持つことの幸福感が全篇を包む。
しかし作風は可憐にして、これは残酷な映画だ。優れた仏映画がそうであるように、仏映画が恋模様を見つめる眼差しは現実的で冷ややかなのだ。
「彼のためなら死んでもいいと思った私なのに・・・」
ジュヌビエーブは恋人をただ待ち暮らすことができない。写真を見ていないと顔も忘れてしまうと告白する。そこへ「影の軍隊」「サムライ」の監督をして「真珠の輝きを持つ映画」と言わせしめた「ローラ」のカサール(ミシェル)が登場する!資金繰りに窮する雨傘店を救って、ジュヌビエーブにプロポーズする。
同じような題材を扱いながら、ネオレアリスモの土壌に一面のひまわりを咲かすことで不変の愛を願ったデ・シーカの「ひまわり」と見比べるのも一興だろう。片や列車に飛び乗って泣き崩れるソフィア・ローレン。片や恋人を乗せた列車が視界から消える前に立ち去るカトリーヌ・ドヌーヴ。そこから愛を描く伊映画と仏映画の資質の違いが浮き彫りになるかもしれない。
雪のクリスマスイブ。ギイは幼馴染と結婚してガソリンスタンドを営んでいる。そこで二人は五年ぶりの偶然の再会を果たす。しかし短い言葉を交わすだけ。映画も過剰な感傷に流れない。もう一呼吸あってもいいはずなのにカットを切り替えるトリュフォーの感覚を思い出す。だから余計に胸に染み入る。
それにしても黒い喪服をまとった当時20歳のドヌーブのこの世のものとは思えない美しさ。あの目の表情。
実際のシェルブールは軍艦や輸送船が行き交う喧騒の港町で、古くから軍港だった。それでも、その名前は「愛らしい町」を意味すると言う。
(「世界シネマの旅
■ 予告編
■ 愛は消え行くものなのか? ■
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『シェルブールの雨傘』いいですよね〜。
自分はいつか“音楽がgood♪”カテゴリーにUPしようと思っていましたが、記事を拝見して例によって素晴らしすぎるので、こちらはしばらく延期します(笑)
再会してからのやりとりが、フランス映画ですよね。アーサー・フリードのミュージカルじゃああはならないですもん(笑)
子供と戯れているラストショットたまりませんでした。
そうですね、ラストの厳しいところがフランス映画かもしれません。でも、子供と嫁さん、帰ってくるのがちと早すぎておかしいんですけどね。ま、いっか(笑)。
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